「ムーンストーン」系の名前はいろいろな使われ方をしているのでややこしいですね。
非常に高価なものでない限り、ブルームーンストーン、レインボームーンストーン、ロイヤルブルームーンストーンというのは流通名(販売名)で、
「レインボームーンストーン」: 青だけでなく虹色の光が出る、白ラブラドライトであることが多い。
「ロイヤルブルームーンストーン」: ペリステライトであることが多い。ムーンストーンの場合も。
「ブルームーンストーン」: 本来の「ブルームーンストーン」は、主な鉱山が閉鎖して産出できない状態のため入手困難で非常に高価な希少石。現在ブルームーンストーンという販売名で売られている石はたいていムーンストーンかホワイトラブラドライトかペリステライト。
・・・というのが現状のようです。
ムーンストーン(化学式KAlSi3O8)、ラブラドライト(灰長石 CaAl2Si2O8)、ペリステライト(NaAlSi3O8とCaAl2Si2O3の固溶体)は、いずれも長石(feldspar)の一種で、外見も似ていますが、化学組成は異なります。
鉱物学的な違いについては、中央宝石研究所のサイトで詳しく説明されています。
パワーストーン的な意味の点では類似していて、ペリステライトはムーンストーンと同じといわれています。(パワーが青い光の中に宿るから、だそうです)
本来は鉱物名で区別されるべきなのでしょうが、現地の採掘者が鉱物学的区別をするのは難しいそうで、輸入元が一つ一つ自国で鑑定するとコストがかかり価格が上がる可能性が高いため、
日本や他国で将来的に呼び方が変更されてゆくかどうかは分かりません。現在、当店では基本的に仕入れ時の名前を元に表記しています。
東南アジアなど海外の天然石販売者さんたちと話すと、「ブルームーンストーン」だけは入手困難な稀少石として別格扱いですが、それ以外(ムーンストーン、ラブラドライト、ペリステライト)は全部「ムーンストーン」としていることも多く、「ペリステライト」などといっても通じないこともよくあります。
外見が似ていること、鉱物名がほぼ普及していないこと、「〇〇ムーンストーン」という外見による呼び名がすっかり定着していること、一般的なジュエリーではその広く親しまれている=分かりやすい通称が、厳密な鉱物学上の区別よりも優先されていることを考えると、当分は現在の販売名で呼ばれていく可能性が高そうですね。
いつか鉱物名での呼び分けが定着する日が来ても、月を思わせる外見とぴったりの美しい呼び名は、愛称・別名として残る気もします。
* Wikipedia:「月長石」(ムーンストーン)、「長石」(フェルドスパー feldspar)、「ラブラドル長石」(ラブラドライト)